蘭拓SS(神童死ネタ)後編
神童がいなくなってから、月日は早く過ぎ去った。
ホーリーロードは無事に雷門の快勝で勝ち続けている。
皆は神童の分まで頑張るって意気込んでいるけど…どうしても俺はその気になれなかった。
いつも、サッカー塔には変わらぬ笑顔でユニフォーム姿で入ってくることを期待していた。
馬鹿馬鹿しいってことくらい、分かってる。
還って来ないことくらい、知ってる。
だけど、どうしても神童の死を受け入れられず、俺は神童を待っていた。
「……おはようございます…」
「おはようございます!!」
俺が部室に入って間もなく、聞き慣れた声が続けて入ってくる。
「…おはよう、霧野」
「あぁ、おはよう、神童…って、はぁ!?」
見覚えのある、灰色ウェーブの髪。
俺は自分の目を疑った。
「な、なんで神童が…!!?」
「何言ってんだ、霧野?俺が居ちゃいけないのか?」
不機嫌そうに眉を寄せる。
神童は確かにあの日、俺の前で死んだ…なのに、どうして…?
「まだ寝ぼけてるのか、霧野は?」
「霧野先輩、彼は神童キャプテンですよ?」
「そんなの、見れば分かる!!その神童がどうしてここにいるんだって聞いてるんだよ!」
必死にまくし立てると神童は笑った。
「どうしてって…霧野、忘れたのか?」
「何を!?神童は、心臓病で…」
「そうだ、それで俺は死んだ」
やっぱり…!!
ならどうして目の前に居るんだ?
「ココ、どこか知ってるか?」
呆れたように溜息をつく。
俺は首を傾げると神童が答えた。
「霧野…お前の夢の中だよ…」
「俺の、夢…!?」
「良かった…霧野が俺のこと、ずっと覚えててくれて」
一際強い風が吹いた。
景色は病院で。
神童がこの世を去ったあの病室で。
涙が込み上げてきた。
「霧野…」
「ばか神童…」
「っ」
触れるだけのキスをしてやった。
そして、悪戯っぽく笑ってやる。
「誰が忘れてやるかよ、拓人」
「!あぁ…そうだな、蘭丸」
薄れる意識の中、神童が泣いていたのが見えた。
だから、泣き虫拓人って言ってやったんだ…
また、来世…生まれ変わったら幼なじみで…親友でいてくれよな…
拓人…
―END
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なんか、蘭拓というより…拓蘭寄りっぽい…(-"-;)
すみません(-"-;)
ここまで閲覧ありがとうございました(^∀^)ノ
三条 里依夢