狩屋SIDE

神童先輩と付き合い始めた翌日。
昨日の今日だから、凄く先輩に合わせる顔がなくて。
少し、避け気味になっていた。
だって、だってね、先輩?
俺は先輩が俺の事を“好き”になった辺りの頃にはとっくに俺は“大好き”だったから。

「新入部員の狩屋です」

サッカーが好きで、サッカー部に入った。
ヒロトさんに薦められて雷門のサッカー部に。
入る前には既に部活は始まっていて、部員全員がそれぞれグラウンドを駆けているのが見渡せた。
その中でも突出して、目に止まったキャプテン。
神童拓人先輩だった。
皆を指揮する、真剣な表情が凄くカッコ良くて、一瞬で惹かれた。俗に言う、一目惚れってやつ。
早く入って、先輩とサッカーしたい、そう思ったのに…

「霧野、今日のディフェンス、良かったぞ」
「本当か?有難う、キャプテン!」
「お前に言われると、調子狂うよ」

“霧野”?“”お前”?
直ぐに分かった。どの部員よりも頼れて、信頼している関係なんだって。
それが無性に憎らしくて、俺は決めた。

「霧野先輩に嫌がらせをしよう」

それから始まった。入部後直ぐに。
ワザとぶつかったり、足を踏んだり。
それから、天城とかいう人を揺すって霧野先輩に無い罪を着せる。
楽しかったね、屈辱に歪む顔を見るのが。

「狩屋、お前…霧野に嫌がらせしてるって本当か?」
「キャプテン。…酷い言い掛かりですよー…俺は仲良くしたいだけなのに、霧野先輩が冷たいんですって」

嘘。正直言って、キャプテンと話せるだけで充分。
なのに、アイツは…つくづく俺を邪魔する。
いつだって離れない。
月山国光での試合では、俺を利用して勝利へと繋いだ。
当の本人は信じて指示を出した。
その時だ、神童先輩が俺を見てくれるようになったのは。

「狩屋、良かったぞ!」
「有難う御座います///」
「!…///次も頑張ろうな…///」

きっと、俺は“認めた”という感情で見てくれたと思っていたから。
だから、好きと言われて、嬉しかったんだ。

「狩屋!」
「先輩…?//」
「ふ、2人で帰ろう!!」
「!!……///はいっ…///」

差し出された手を握る。
大きくて、素敵な先輩。
一つしか年も変わらないのに…なんて思った時もあった。

「今日、ずっと避けてただろ?」
「気付いてました?」
「てっきり嫌われたかと…」
「反対です///好きだから…緊張して無意識に…///」
「狩屋ぁ……////俺も、大好き…!!////」
「ちょ、先輩///」

時々子供っぽい。でも、そんな先輩が好き。

END

:

続編もどき((←
狩屋の独白率の高さ…(/_;)

そして、微妙なヤンデレっぽい。

済みませんでした…!!