狩屋SIDE

俺の好きな人には、好きな人がいるんだって。
先輩が、霧野先輩に聞かれてるのを、耳にしてしまった。
知ってた。先輩が好きな人ぐらい。

「神童先輩…」
「!狩屋?」

放課後、偶然逢ってしまった。
外は雨。しまった、傘を忘れていた。
雨ですね、なんて言えば、先輩も短くそうだな、って返す。
やっぱり、霧野先輩じゃないから…?
態度が少し、冷たい気がする。
胸の奥が、ツキン、と鈍く痛んだ。

「狩屋、傘忘れたのか?」
「えぇ…困りました…走って帰りますよ」
「そうか…。俺、持ってるからさ、送っていくよ」

今、なんて?送ってく?俺を?

「ほら、入って」
「っ…い、いいですよ!!迷惑…」
「こういう時くらい、素直に甘えろ」

ぐいっと腕を引かれる。半ば無理やり傘に入れられてしまった。
駄目だ…こんな、急に近くになるなんて。
傘の柄を隔てて、先輩との距離は数mm程度。
煩い心音が、聞こえてしまうんじゃないかって不安になる。
思い人は気付かずに涼しい顔をしている。
そんな横顔でさえ、カッコ良くて、好きだ。

「…狩屋、あんまり見つめられると、その…//」
「ぅえ!!?///あ、す、すみません…!//」

つい、見つめていたらしい。少し、照れたように先輩の頬が赤く染まった。
それが、無性に愛おしくて…。

「このまま、一緒に居られたらいいのに…」
「え?…狩屋、今なんて…?///」
「!!な、んでも!!あ、俺、直ぐそこなんで!!ここまで有難う御座いました!!では!!」

何言ってんだよ、俺!!
神童先輩には霧野先輩がいるんだから。
そうだ、報われないんだから。

「っ、待って!!」
「っ!!」

再び腕を引かれる。今度は傘じゃなくて、先輩の腕の中に納まった。
つまり、抱き締められたわけで。

「狩屋、俺の勝手な思い込みでも構わない。でも、言わせてくれ」
「せんぱ……///」

“好きだ、狩屋”

先輩の声が耳に、頭に響いていく。
好きって、誰が?誰を?
先輩は赤くなって、俺を見つめていた。
どうしよう、どうしよう。
胸の音が煩い。

「き、霧野先輩は…?///」
「霧野はただの友達。俺は、霧野と打ち解けて、本当に笑ったその瞬間から好きだった」
「っ……/////」

抱き締める腕に力が込められる。

「俺も、好きです…神童せんぱ…んん…///」

貪るようなキスをされる。何度も角度を変えて、苦しくなるくらいに。
そのキスから、先輩の気持ちが伝わってくるようだった。
息が出来なくなって、腕を掴めば離してくれた。

「雨、止んだな」
「っはぁ…、そう、ですね…///」
「狩屋」

ちゅっ、と軽くリップ音を立てて、俺の頬に唇が触れる。
それは一瞬で終わり、先輩は手を振って帰路を辿り出す。

「っあ、先輩…!!//」
「また明日、朝練でな」

きっと、今の俺はこの上ないくらいに真っ赤だろう。
でもね、先輩。
俺もアンタが好きだから。
この火照りも、心地良いくらいなんだ。

「神童先輩、俺も好きです……///」

誰もいないそこで、一人で呟く。
気が付けば、空には夕日に虹が架かっていた。

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初投稿、拓マサ。
スランプー…;;;
一応、お互い好きだったんだけど、狩屋が勝手に誤解してた…的な…?
伝わりづらくて申し訳ない…!!;;
オマケ↓

霧「よー、狩屋?神童と付き合い始めたんだって?」(ガシッ←肩組んでる

狩「だったら何ですか?////」

霧「残念、俺が貰う予定だったのに」

狩「ざまあw」

霧「可愛くねえ!!」

神「霧野!!狩屋にくっ付き過ぎだ!!!//」

狩「先輩……///」

霧「し、神童………(/_;)」

カップルな2人(笑)